王子様は寮長様
「ちゃんと話せたみたいだな。」
相馬先輩が野上くんと入れ替わるように談話室に入ってきた。
隣には猛先輩の姿もある
「椎~菜ちゃん。聞いたよ。おめでと!」
「猛先輩…。」
「んでもって、もう一つ、めでたくない話が。」
「え?」
胸がドキッとする。
相馬先輩を見上げると真剣な目で私を見ていた。
談話室には私達以外は誰も居ないのに、猛先輩は声を低くする。
「社長が来週、帰国する」
社長…。つまりは“父親”が帰国する。
帰国したら話を聞くことになっていた。
そろそろかとは思っていたけど、改めて言われると動揺するな。
そんな私の手を、相馬先輩はそっと握る。
言葉にしなくても、先輩の目が大丈夫だって言っている。
そうだよね。
大丈夫。
何があっても一緒にいるって約束したもん。