王子様は寮長様
「あの、相馬先輩?」
「ん?」
「もう一度、副寮長の件考え直してはくれませんか…ね?」
寮への帰り道、ちょっと控え目に尋ねてみた。
先輩は足を止める。
「九条はさ、俺が嫌いなの?」
「えっ?」
「俺と居て、困るやつは珍しいから。」
…えっと、自慢ですか?
「困ってはいないです」
「本当に?」
「はい。」
先輩に困っているわけではなく、副寮長になってしまったことに困ってるんだから。
「なら、良かった。」
あ、いや、その笑顔は反則です。
妙に照れてしまい、顔を背けた。