王子様は寮長様
「二人は同じ学校なんだろ?」
「はい…。」
「椎菜さんは副寮長をしてるとか?」
「はい…。」
威圧感はあるものの、その穏やかな話し方に私の緊張は少し和らいだ。
そんなに恐い人ではないかもしれない。
「どうだね?学校生活は」
「楽しく過ごしています。あの…お金の援助、ありがとうございます。いつかお返ししますから」
「返す必要はない。あれは君の金だ。」
そして目線を相馬先輩に移す。
「蒼斗。親をそう、睨みつけるもんじゃない。」
「すべてを…話して下さい。」
ずっと黙っていた先輩が低く呟くように言った。
「すべて…ねぇ。本当にいいのかい?」
「話してください」
相馬先輩はきっぱりと言い放った。
「いいだろう」
相馬隆弘…“父親”は大きく頷き、話始めた。
20年前のことを…………