王子様は寮長様


「じゃぁ、先輩の帰り、待ってますね。」

「九条…」



相馬先輩は片腕だけで私を抱き寄せる。


私は身体を先輩に預けるように寄り添った。



「…クリスマスはサプライズだな」

「え?」



先輩の小さな呟きに顔を上げるが、笑顔で“何でもない”と首を振る。



その笑顔が可愛くて、ドキッとなる。



「九条…」

「先輩…」



相馬先輩の顔がゆっくりと近づいてくる。


私は先輩の服をキュッと掴み、そっと目を閉じた

そしてーーーー……





バタンッ!!!!



「蒼斗ーー……って、あれ…?」

「…猛っ…」

「あ、俺、またやっちゃった……?」



猛先輩の顔が引き攣っている。

本当にタイミングの悪い人だなぁ。


相馬先輩の無言の怒りが私にもヒシヒシと伝わりますよ…。




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