王子様は寮長様
うぅ、見つめないで欲しいよ~。
「どうしたの?」
「い、いえっ。なんでもありませんっ。」
私は赤くなった顔を隠すように、慌てて紅茶に目線を戻した。
馴れないなぁ、このイケメンの顔には。
妙に恥ずかしくなっちゃうよ。
「そっ、そういえば、聞きましたよ。」
「何を?」
「先輩って、あのSOOMAグループの御曹司なんですね。驚きました。」
「…あぁ…」
相馬先輩は紅茶を持ってリビングへ戻る。
「私、知らなかったです。凄いですね。ビックリです。」
「…ん~」
私は照れを隠すように饒舌になる。
「そういえば、昨日猛先輩がパーティーがどうのって言ってましたもんね。凄いですね。やっぱり私とは世界が違うっていうか…」
「九条。」
先輩は隣に座った私をじっと見つめた。
えっ?何?
「一緒だよ。世界なんて。俺は俺だよ。」
「へっ?」
「家じゃなくてさ、“俺”を見て?」
「相馬…先輩?」
あれ?なんかマズイこと言っちゃったかな?
相馬先輩、真剣な顔してる。
家じゃなくて、俺を見てってどういうこと?