王子様は寮長様
「ね?」
私がちょっと戸惑っていると、相馬先輩はいつもの柔らかい笑顔向けてくれた。
つられて私も小さく微笑む。
家の話はあまりしたくないのかなぁ。
うん。プライベートなことだしね。いろいろ詮索するのは止めよう。
「仲よさそ~だね…」
「きゃぁぁ!たっ、猛先輩!?」
座っているソファの後ろから急に声がして振り返ると、猛先輩が居た。
ビックリした~。
思わず叫んじゃったよ。てか、心臓がバクバクしてる。
「普通に出てこいよ、猛。九条、ビックリしてるだろ。」
「ありゃ、驚いた?椎菜ちゃん。」
私は首を縦に思いっきり振った。
何日か分の寿命が縮んだと思うくらいビックリしましたよ。
「で?何の用だ。」
「お前ねぇ、あからさまに態度変えるなよ~。まぁ、いいけどね。一年の男子が寮長探してだぞ」
「俺はここにずっといたけど?」
「ここはお前の部屋だろ~。寮長室は隣だ。一年のガキに寮長の自室を尋ねる勇気はないらしい」
「なるほどね。」
相馬先輩は軽く苦笑して、寮長室へ行く扉に向かった。
「あ。」
先輩はクルッと振り返る。ん?私を見ている?
「紅茶、飲むから置いといて。」
「あ、はい。」
「すぐに戻るから、待っててね。」
えっ?ちょ…。
扉はパタンと閉まってしまった。
言葉を返す前にいっちゃったよ……。