王子様は寮長様
「ごめんなさい、ボーッとしちゃってました。」
「ハハッ。いいけど混んでるから気をつけろよ」
「はい。」
店はますます混んできた。とりあえず、莉子が席をとってくれてる所へ行かなきゃ。
一歩踏み出した瞬間。
外から入って来た女の子達に思いっきりぶつかられてしまった。
外が雨のせいか、床は濡れており、踏ん張れず、グラリと大きく体がよろける。
わわわっ!転ぶーー……
ギュッと目をつぶった。
…………………ん?
痛みではない感触に目をそっと開ける
「大丈夫か?」
耳元で低い声がした。
顔を上げると私は後ろから支えられるように抱きしめられていた。
あ!アイス!
アイスは無事だ~。良かった~。
ホッと息をつく。
「九条、大丈夫かって聞いてるんだけど。」
「えっ?あっ!ええっ!?相馬先輩!?」
支えてくれてたのは相馬先輩だったの!?
私は一気に赤くなった。
よく見れば先輩の腕は私のお腹の方に回っている
これ、抱きしめられてるじゃん!
急いで先輩から離れた。
「ご、ごめんなさいっ!」
「いや。思いっきりぶつかって来られたみたいだけど大丈夫そうだね。アイスを真っ先に心配してたし。」
クククッと先輩は下を向いて笑った。
うぅ~、恥ずかしい。笑われた。