王子様は寮長様
「ったく。仕方ないな」
相馬先輩はだるそうに立ち上がった。
食堂は寮の一階にある。食事の取り方は自由で、自炊してもいいし、事前に連絡を入れれば食堂で食べることが出来る。
食事代はないので、ほとんどの寮生はここで食べているのだ。
相馬先輩と猛先輩と食堂へ行くと、寮生達が見物に来ていた。
けっこうな野次馬だな。寮生の半分くらいはいるんじゃないかな。
(ちなみに皐月寮は現在男女合わせて40人くらいです。)
「どうした?」
入口で相馬先輩が声をかけると野次馬達が振り返った。
「寮長…、喧嘩です」
「知ってる。状況は?」
「なんか、中林が一方的に喧嘩吹っかけてるって感じですよ。」
「なんとかしてくれよ寮長~。中林、最近マジ態度でかいんだよ。」
「親が大物政治家だからって偉そうなのよね。」
寮生たちは口々に文句を言っている。
気持ちもわかるなぁ。
私も何回か食堂であったけど、偉そうというか、我が儘そうというか。
寮長室にもたまに中林の愚痴を言いにくる寮生もいたくらいだ。
「そろそろ…かな。」
黙って聞いていた相馬先輩が低く呟く。
そろそろ……?