王子様は寮長様


「…蒼斗、マジで怒ってるな。」



猛先輩が隣でつぶやいた



「久々にみたぜ。あの冷たい目。」



相馬先輩に目線をうつすと、なんの感情もないような冷たい目のままだった。

相馬先輩がちょっと怖く感じた。

いつものあの笑顔はなかった。







中林は電話しながら必死に何かを叫んでた。


相馬先輩はその携帯を奪った。



「もしもし。中林大臣、こぶさたしております。相馬蒼斗です。」

「へっ?」



その場の人が一瞬ポカンとする。



「えぇ、大臣もお元気そうで。そうなんです。俺ここの寮長なんですよ」



先輩は口調は緩やかだが表情はさっきのままだ。



「なんか息子さんに喧嘩を吹っかけられちゃいましてね。寮長の権限で退寮にしてもいいですか?というか、ここでは寮長決定は絶対ですけど。」



そうですか、ありがとうございます。と言って、相馬先輩は携帯を中林に投げて渡した。



「っつーことで、お前退寮決定。」



相馬先輩は冷たく言い放った。



「寮長決定だ。九条。」



突然呼ばれて私はハッとする。

先輩の表情は変わらない

返事が出来ずにいると、相馬先輩が、退寮通知を学校側に送るようにと言った。

そしてそのまま食堂を出て行ってしまった。




中林は雨の中、呆然とヘタリ込んでいる。



私は慌て相馬先輩の後を追った。



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