王子様は寮長様
夏休みへ
「あっつーい!!こんな暑い中、外で体育なんてバッカじゃないのー!お陰で日に焼けたよー。」
「莉子、気持ちはわかるけど、声大きいよ。」
私たちは玄関でしばらくエアコンにあたっていた
はぁ~、涼しい。
季節はすっかり夏。
空からは日差しが照り付け、日焼け止めも役にはたたないくらい暑い。
「あ~、早く夏休みにならないかなぁ~。明日の終業式が今日ならいいのにぃ!」
「本当だねぇ。莉子は今年もずっと海外?」
「うん。日本の夏から脱出するっ!」
夏休みも近くなり、周りは予定を立てるのに忙しそうだな。
私は今年も予定なし。
今年は皐月寮でのんびりだな。
「あ、お土産のセレクトはまかせてね~」
「アハハ…楽しみにしてるよ…」
莉子のお土産セレクトって毎回微妙なセンスなんだよなぁ…。
まぁ、ある意味、思い出に残るけど…。
「旅行にも行けない人がいるなんてね~」
廊下ですれ違い様に隣で言われた。
「何!?あいつ!?」
「莉子っ。」
あの後ろ姿は三年だ。
見たことある。相馬先輩の取り巻きのひとりだ。
たまぁ~に、イヤミを言ってくるんだよね。