王子様は寮長様
「なぁによ。たかが取り巻きのくせにっ。ひがみなんてみっともないんだからっ。」
「もういいって。ありがと、莉子。」
莉子がこうやって怒ってくれるぶん、あまり腹立たなくなってきたよ。
「何を怒ってるの?莉子ちゃんは?」
急に声をかけられ、私たちは弾かれたように振り向いた。
そこには笑顔の猛先輩がいた。
今の…聞かれてないよね
「びっくりした。猛先輩か。」
莉子はパッと笑顔になった。
さすが。切替の速さ。
「おっ、笑顔だ。さっきまで怒ってなかった?」
「気のせいです。先輩、これから部活ですか?」
「うん。あ、蒼斗も教室向かってたよ。」
「えっ?本当ですか?じゃぁ私、行きます。じゃぁね、莉子!」
「バイバーイ。」
更衣室でのんびりし過ぎちゃったからな~。
相馬先輩、待たせちゃ悪いよね。