王子様は寮長様


「相馬先輩っ。」



急いで教室を開けると、先輩は私の席に座っていた。



「あれ、走ってきたの」

「待たせちゃ悪いと思って…」



私は息を整える。

そのとき、携帯が鳴った
ん?私かな?



「俺だ。…猛からだ」



メールを読む先輩の顔が一瞬厳しくなる。

何かあったのかな?


しばらくすると、パタンと携帯を閉じた。



「帰ろっか。」

「あ、はい。」



いつもの先輩の顔だ。

何だったんだろう、さっきの表情。

また猛先輩が変なメールでもしたのかな。



「そういえば、九条は夏休みの予定は?」

「特にはないですよ。」

「なら、海いけるね。」

「はい。………はい?海?」



うっかり返事しちゃったよ。

海って、なんの話だ??



「…寮の掲示板見なかったのか?」

「見てないですよ。だって大抵あの掲示板に何かを貼るのは私ですから」

「そういやそうだな。…そっか。あれは毎回、奈緒が貼るからなぁ。」



奈緒…………?

誰…………?



「じゃぁ、寮に帰ったら見といて。」

「はい…。」



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