王子様は寮長様
奈緒先輩も帰ると言うので、一緒に教室に向かうと、いつものように相馬先輩が私の席に座って待っていてくれた。
「相馬先輩…」
「おかえり。あれ?奈緒も一緒?」
声をかけると、窓の外を見ていた先輩がこっちを笑顔で振り返った。
あ、なんだろう。相馬先輩を見たらすごくホッとした。
あんなことがあったからかな。
「今そこで、椎菜ちゃん達と会ったのよ。帰り、一緒にお邪魔してもいいかしら?」
「うん。邪魔だなぁ。」
本心ではなさそうな笑顔 で答える相馬先輩。
莉子と別れて三人で寮に帰った。
「九条、海旅行の準備は進んでる?」
「はい。来週からですよね。」
「準備なんていらないよ~。大抵はウチの別荘にあるんだから。あ!水着は用意した?」
「水着……?あ!忘れてた!!」
そうだよね。海に行くのに水着忘れてたよ。
うっかりしてた。
奈緒先輩はうふふっと横で笑った。
ん?なんだ?
「そうかな~、と思って私が用意しちゃった。」
「ええ!?」
「当日、楽しみにしててね。」
奈緒先輩はとっっても楽しそうに笑っていた。
なんか、その笑いが心配なんですけど!?