王子様は寮長様
奈緒先輩から鍵を預かった。
部屋の中は広々としていて、大きな窓からは海が目の前に見えていた。
凄い…きれい…。
「入るよ、椎菜ちゃん」
「奈緒先輩。眺め凄いですね。来て良かった」
「ふふ。夜は花火やバーベキューもやるからね。だいたいは自由時間。」
「そうなんですね」
「ここら辺は海くらいよ。…この旅行は避難なのよ。」
「避難?」
うん、と奈緒先輩。
避難ってどういうこと?
「理由をつけて、すぐには実家に帰りたくない寮生とかもいるし。イロイロ。」
「へぇ…」
事情がある人のためでもあるってことか。
そうそう。と奈緒先輩が袋を渡してきた。
なんだ?これ。
袋を開けるとそこには…
「水着!ありがとうございます!」
「私が選んだの。似合うと思うわ。」
中には、フリルのついた可愛い白の水着と、マリン柄の水着が入っていた
「これ着たらクールを装ってる蒼斗もドキドキするんじゃない?」
「な、奈緒先輩っ!?」
「じゃぁ、海でね~」
オホホホーと笑って出て行ってしまった。
ダメだって…。
着るのが恥ずかしくなっちゃうよ~…