王子様は寮長様


「寮長~、俺、ジュース飲みたい。」

「自分で買ってきなさい。それくらい。」

「金、部屋だし…」

「じゃぁ諦めなさい」

「うちの寮長は冷たいッスね…。」



拗ねたように三年の寮生達が呟く。

身体を焼いていたのか、真っ赤になっていた。

それじゃぁ喉渇くよね。



「私、行ってきますよ」

「副寮長~!」

「女神だー!」



大袈裟な。



「行かなくていいよ、九条。」

「大丈夫です。だって日射病にでもなったら可哀相ですもん。」



確か、ちょっと先に海の家があったな。

そこでいいや。




私は適当に飲み物を数本買った。

みんな飲むよね。



「ねぇねぇ、それ重くない?持ってあげようか」



声をかけられ顔を上げると、大学生らしい男の人が二人立っていた。



「大丈夫です。」



私はそのまま歩こうとしたが、通せん坊されてしまった。



「あの、どいてください」

「ねぇ、どこから来たの?高校生かな?」

「俺らと一緒に遊ばない?」



あぁ、ナンパか。

声をかけられた理由がわかった。

う~ん、困ったなぁ。


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