王子様は寮長様
「すみません、人、待たせてるので。」
「いいじゃん、ちょっとくらい。可愛いなぁって見てたんだよ。」
そう言われても…。
一向に前を通そうとはしないナンパ野郎(失礼)に、すっかり困り果ててしまった。
けっこう粘ってくる人達たなぁ。
ちょっとイライラしてきたぞ。
「いい加減にしてください。」
「睨んでる~。気ぃ強いタイプだね~」
「ほっといて。大声だしますよ!?」
面白がるナンパ野郎に、私は大声を出そうと大きく息を吸った。
と、その時。
「う、ん!?」
「俺の連れに何か用?」
口を後ろから塞がれ、びっくりしていると、聞き覚えのある声が上からした。
「ナンパならお断りだから。」
「ちっ。んだよ、男連れかよ。行こうぜ。」
ナンパ野郎達はアッサリとどこかへ行ってしまった。
ってか、苦しい!
私がもがいていると、パッと手が離れた。
「ハァハァ、苦しいですよ。相馬先輩。」
「悪い。大丈夫か?」
相馬先輩は心配そうに覗き込む。