王子様は寮長様


「ありがとうございます。助けてくれて。」

「いや。こっちこそ、悪かったな。ひとりで行かせて。」



相馬先輩はそう言って、私の荷物を持ち、スタスタ歩いて行く。


私は慌てて追いかけた。



「俺ね、今ちょっと後悔してる。」

「何をですか?」

「九条をひとりで行かせたこと。」

「あ、いや、だってあれは…」



先輩のせいじゃない、と言おうとすると、急に先輩が振り向いた。



「嫌な思いしたろ。ごめんな。」



相馬先輩………。


私はブンブンと頭を横に振った。



相馬先輩は優しい。

先輩の優しさに触れるとなんだか胸がギュッとなる。




どうしてだろう。







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