王子様は寮長様
「大丈夫?持っていける?」
「大丈夫。わざわざ手伝ってくれてありがとう、莉子(りこ)」
私は皐月寮の門前で親友の莉子から荷物を受け取る。
「でも凄いよねぇ。あの皐月寮に入れたんだもん。見てよ、あのお城のような建物。門から遠いしさ。」
「うん。凄いね」
学校の裏手にある寮はとてもキレイな建物だ。
「しかも私らみたいな一般生徒は許可ないと入れないし~。」
「寮生が許可すればいいんだから、莉子はいつでも入れるよ。」
「ありがとう~、椎菜!私、自慢できるよ!なんてったってこの寮には…」
莉子が何か言いかけた時、後ろから急に声をかけられた。
「2-C、九条椎菜さんですね?」
男の声に振り返る。