王子様は寮長様
「うっそぉ…。相馬先輩だ…」
莉子がつぶやいた。
振り返ったそこには、優しく微笑む超イケメンが立っていた。
髪は日があたり、サラサラな薄茶色をしていて、目鼻立ちも整っている。
隣の莉子は顔を赤らめ、口元を押さえていた。
「九条椎菜さんですよね 」
「あ、はい。」
ハッと我に返り、返事をする。
「初めまして。皐月寮、寮長の相馬蒼斗といいます。」
そうま…あおと…?
どっかで聞いた気がする名前だなぁ。
「じゃぁ、行こうか。」
「えっ?あ、あの…!」
相馬先輩は私の腕を掴むとスタスタと中に進んでいく。
莉子を振り向くと、赤い顔して大きく手を振っていた。