王子様は寮長様
朝になり、私は相馬先輩に支えられて別荘へ戻った。
「椎菜ちゃんっ!!」
別荘に着くなり、半泣きの奈緒先輩に抱き着かれる。
「心配したのよ~。見つかって良かったぁ」
「ごめんなさい、奈緒先輩。」
ワンワン泣く先輩。
他の人達も、起きて待っていてくれたようだった
「みなさん、ご心配おかけしました。」
ペコッと頭を下げる。
みんなが温かい言葉をかけてくれることが何より嬉しかった。
本当に皐月寮の人達は優しい。
「蒼斗、良かったな。見つけられて。」
「あぁ。悪かったな、猛。連絡入れられなくて」
「いや。蒼斗なら絶対見つけると思ってたから」
猛はそっと蒼斗に顔を寄せる。
「で?一晩、一緒にいて手を出したりとかしちゃった?」
「猛。」
蒼斗は猛を軽く睨む。
「出来るわけないだろ」
「…まぁな。でも気持ちがぐらついたりしなかった?」
「………いいや。」
蒼斗は逃げるようにその場から離れて行った。
猛はそんな蒼斗を見て、小さく呟いた。
「気持ち、ぐらついてんじゃん……」