王子様は寮長様
「久々に前、住んでた所に行ってみようかな~」
お母さんとずっと住んでいたアパートへむかう。
「…あれ?ない。」
そこには懐かしいはずのアパートがなかった。
取り壊された…!?
さら地になっている。
嘘…。いつの間に…。
私が呆然と立ちすくんでいると、後ろから声をかけられた。
「椎菜ちゃんじゃない?元気にしていた?」
「大家のおばさん!お久しぶりです。あの、これって…!?」
そこにはアパートの大家のおばさんが立っていた
「あぁ、これね。椎菜ちゃんが出てすぐに取り壊ししたのよ。」
「どうして?」
「実は前から決まっていたの。でも、椎菜ちゃんを追い出すわけにもいかなくて…。そのときあなた、皐月寮に入ったでしょう。だから…」
「そうだったんですか」
おばさんに挨拶をして、その場を離れた。
ショックで頭が回らない
ずっと住んでいたアパートがなくなっていた。
お母さん………。
お母さんとの思い出の場所が、ひとつなくなっちゃった……。
ごめんね。
ごめん……。