―優しい手―




朝 目が覚めるとシュウはいなかった




敷いたはずのない布団の中で 私は天井を見上げていた




ふと、机に目を向けると 昨夜のケーキの箱が目に入った




シュウのくれたケーキ




真っ白なクリームの上に、赤い苺がのっていて ローソクが18本立てられていた




私は 手づかみでそのケーキを食べた




シュウがくれたケーキ



シュウがくれたケーキ



シュウ


シュウ


シュウ









ケーキを口いっぱいに食べながら テレビを点けると、テレビの端に出ている時計は9時を示していた



いつもなら やって来てもおかしくない時間



どうして来ないんだろ








< 17 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop