―優しい手―




食事を作り終えると、いつもと同じように私を風呂に入れた



成長した私の身体に 流し台は窮屈で冷たいけど…



それでもシュウの手はやっぱり温かくて、優しい



そんな温かく心地好い時間も長くはなかった



シュウの身体に異変を感じた





身体の隅々を丁寧に そして、キレイに洗いあげる手や腕など、服からはみ出した部分には幾つもの傷や青や紫色になった痣が できていた



“これ、どうしたの?!”



あまりにも痛々しくて、おもわず他にも傷や痣ができていないか 服を脱がしてみる



脱がされたシュウの身体には おびただしいほどの傷や痣ができていた



“誰にやられた?”



私の問いに答える事も、目を合わせる事もなく 落ちた服を拾い、身にまとう



“なぁ。誰にやられたんだ?”



モヤモヤしたモノが腹の中から沸き上がり 頭が熱くて… 『頭に血がのぼる』とは、この事かもしれない



シュウの身体を こんな目にあわせたヤツが憎くて、やり返しにいかなきゃ 収まりがつかない



答えようとしないシュウを尻目に 泡だらけのまま流し台の上から飛び降りた



“止めろ。相手は連中だ”



シュウは強い口調で 制止した







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