―優しい手―

今日の『仕事』の対象物は初めてのヤツ―桜木ハヤト―だった



『仕事』の場所に向かう


そこは この辺りでは有名な金持ちしか泊まれないホテルだった



そこの最上階にヤツは居た



大手企業の社長



―桜木ハヤト―



コイツに出会って私の人生…私達の人生は大きく変わった







“こんにちは。よく来てくれたね。噂は聞いているよ”


“ああ。ところで、用件は?”


『仕事』を早く片付けたかった


早く片付ければ 早くシュウに会える


“今日、君を頼んだのも、仕事の話をするためではないんだ”


“はぁ?”


何を言っているのかサッパリ分からない


“今日は君と話しがしたかったんだ”


“………………”


“ところで、君の親は誰なの?”


“………………”


“君を育てたのは、多分…山本シュウだろ。”


何が言いたいんだコイツ

“シュウは元気かな?”

“…………………”


まるで、小さな子供にでも話し掛けるような話し方


イライラする



“最近、シュウの噂をよく耳にするんだけど…それが実に良くない噂なんだよ”


桜木ハヤトは 独り言のように淡々と話し続ける

“どうも、女に惚れたらしくてね……………僕が思うに、その相手は君じゃないかと”


な、何言ってんのコイツ。頭おかしんじゃないの

“で、君と話しがしたくてね。………………君も知ってると思うが、この世界じゃあ『恋愛』は禁止なんだよ。ましてや、それが『親』と『子』の間柄ではね。”


“も、もしそんな事が起きてたら シュウは…ヤツはどうなるの?”


“…………知りたいかな?”


“いや…。別にイイ。アイツが、どうなろうと私の知った事じゃないから”


“フッ”


私は 無性に居心地が悪くて仕方なかった


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