―優しい手―
“大丈夫か?”
“ああ。大切な女ひとり護れねぇようじゃあ 生きてる価値ねぇからな”
“シュウ…”
私達は必死になって逃げた
シュウの手が『もう離さない』って言ってるみたいに 強く強く私の手を握りしめる
白い息を吐きながら 風をどんどん切っていく
冷たい風が 私達の体温を奪っていく
だけど、立ち止まる事はできない
ただただ二人 今にも雪が降り出しそうな寒空の下 繋がれた手から伝わる体温だけを頼りに走り続けた