―優しい手―
―生きとし生けるもの達―
“とりあえず、桜木さんに連絡しないとな。金がないと出れないし…”
それから、シュウはハヤトに連絡をし 金を持って来てもらう事になった
“桜木さん。一時間ほどで来てくれるから…それまでの間、風呂でも入るか?”
“ああ。うん…”
シュウは 私の手を引いた
あの部屋にいた時と同じように 私の服を脱がせる
“いいよ。自分で脱ぐから…”
…恥ずかしかった…もう。あの部屋にいた頃とは違うんだ…
“いいから…なっ。…じゃあ。俺の服、脱がせて”
互いに一枚ずつ 服を脱がせ合った
シュウの細くて筋肉質な身体が 傷だらけで痛々しい
“ごめんな。シュウ”
“お前に謝られるような事は何もない…さっ。入ろう”
私達が過ごしてきたあの部屋とは違う大きな風呂
シュウはゆっくりと 私の身体を洗いながら語りだした
“あの日、お前をさらったあの日。俺が独り立ちする初めの日だったんだだけど、子供をさらうなんて、できなくて…桜並木に呼ばれるようにして、木の下を歩いてた。家族やサラリーマン達が楽しそうに賑わう中、お前だけがまるで…『この世の果て』みたいな顔して、捨てられた猫みたいな目をしてた。…俺も、親に捨てられたから分かるんだ。…お前と俺はいろんな意味で、同類だ…”
“シュウ、聞いてもイイか?”
泡のついた身体をシャワーのお湯で流されながら 私は核心にせまった