―優しい手―
だけど…
シュウとの時間は 瞬く間だった…
プルプル プルプル
部屋の電話が静かに鳴った
シュウは電話に出ると、“そろそろ出るか?”と言った
“そうだな”
私達はふたり 部屋を後にした
一階のロビーに下りると ハヤトと絢さんがいて、それから 会計を済ましてもらって…ホテルの玄関を出て、ハヤトの車に乗り込む…一瞬の出来事だった
パンって 鼓膜が張り裂けるぐらいの音が近くで聞こえたんだ…
そしたら急に、シュウが倒れてて… 私の顔や手には紅色の雫がついてて 舐めると…少し、鉄が錆びた様な味がして…
“シュウ!!”
今まで聞いた事のないハヤトの叫び声
視野に入った黒ずくめの二人組の男
身体のどこかで沸々とマグマが煮えたぎるみたいに熱くなっていて…
それから数秒?数分?数時間?の間の記憶が飛んでいた