―優しい手―
私が家族の下を去った当時
『6歳の少女が失踪した』と、事件になり ニュースや報道番組に幾度も放送された
その度に流れる私の親の涙する映像は 幼かった私の心をズタズタに切り裂きいた
どうして そんなになくの?
どうして そんなに“かえってきて”っていうの?
わたしが ないて たすけをよんでも だれもたすけてくれなかったのに…
どうして?
どうして?
おとうさんも おかあさんも おにいちゃんも みんなわたしのこと きらいっていうのに
どうして?
どうして?
ほんとうは わたしのことすきかな?
ほんとうは みんなわたしをさがしてくれてるの?
いつかは むかえにきてくれるかな?
やがて 時間の流れと共に私の失踪事件の話題は姿を消した
私はシュウから救い出される事はなく、幼心に 『やっぱり』と思った