―優しい手―

―絢―




ハヤトさんの弟さんが亡くなってから ハヤトさんは笑わなくなった



弟さんが亡くなったのだから、仕方ない事



だけど、あの落ち込み方は尋常ではない



ハヤトさんのお母様が亡くなった時にも落ち込んでいたけど…それとは違う。



私には身内も、涙を流せる人もいない。ましてや、『人の死』に対して 普通の人間から比べれば鈍感なんだと思う



だから、分からないけど



きっと、ハヤトさんにとって 弟さんはもっと特別な存在の人だったにちがいない



ハヤトさんを助けたい



もともと、普段から笑う人ではなかったけど 私の前ではよく笑ってくれていた



なのに、 最近のハヤトさんは難しい顔をして いつも何かを考えふさぎ込んでいる



私は ハヤトさんを助けたい



なんでもイイ ハヤトさんの為なら、なんでもイイ…どんな些細な事でもイイから ハヤトさんの為に何かしたい



彼を助けたい









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