―優しい手―



“シュウは死んでない”


“愛恵 よく見るんだ…これがシュウなんだ。シュウは死んだんだ!”



“シュウは死んでなんかいない…よ?”



“死んだんだ、愛恵。シュウは…シュウは組織のヤツに殺されたんだよ”



“イヤだ。イヤだ。シュウは死んでない”



欲しい物を買ってもらえず泣き叫ぶ子供のような愛恵を抱きしめた



僕の身体に爪を立てる。この細くなった身体の何処にこんな力があるのだろう。



“辛いよね?だけど、これが現実なんだよ。シュウはもう、帰って来ないんだ。”



“シュウ…”



そう言うと愛恵は、目を見開き僕の目を見つめた



“ハヤト?”



“ごめんね。君を泣かせたいワケじゃないんだよ”



“シュウは死んだの?”



“そうだよ。疲れたね?おやすみ…”



僕の腕の中でゆっくりと意識を失っていく



“ごめんね、愛恵。君を傷付けるつもりじゃあないんだ。だけど、このままじゃあ…君までも失ってしまう。もう、僕は誰も失いたくないんだよ。だから…だから、わかって。”



僕はこぼれる涙を堪えて 天を見上げる



…きっと 愛恵は分かってくれる…








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