逃亡者
その時、大崎こと俺はと言うと、国道14号線をひたすら東京方面にもう1時間近く歩いていた。

時折パトカーがサイレンを鳴らして近寄って来る時だけは脇の細道に入って息を潜めていた。

1時間近く歩いても船橋市と言う標識は出て来ない。

俺の考えは、とにかく習志野市を出れば警察の手から逃れられるか、と思ったからだ。

そして「船橋市」
という標識が見え始めた頃、

「やっぱそう簡単に市外に出してはくれねえよな。」
俺はため息をつく。

前に会ったのは「検問」
だった。

だがどうやら俺を捕まえるための検問ではなく、普通の飲酒運転の検問のようだ。

俺はなるべく不審に思われないように、検問横の歩道を歩く、そして船橋市まで後五百メートルという所まできたころ、
後ろが賑やかになってきた。

・・・何だこの騒ぎは?

俺は胸騒ぎがして走った。

すると後ろからサイレンの音と警察官が走って来て警棒やらなんやらが擦れる音がする。

・・・やっぱり目的は俺か。

だが大丈夫だ。

後、少しで船橋市だ。

後、少し

後、少し・・・

だが船橋市に入っても代わりはなかった。そして俺は力尽きた。

その場に倒れ込む。

そして俺の前にパトカーが数台、俺の行く手を阻むように止まる。

そして俺はパトカーから降りてきた警察官に取り押さえられパトカーの中に入れられた。

夕方の14号線は騒然とした・・・
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