永遠
ずっと口を開かなかった、里奈が口を開いた。




「…それもそうかもしれないけど、香織は逃げてるだけなんじゃないの?」




「・・・」




「単に、辛い事や面倒くさい事から逃げてるだけなんじゃないの?」



「そうかもしれない。」




『そうかもしれない』なんて、曖昧な事言ったけど、確実に
里奈の言っていることは真実だった。

あたしは逃げていた。勉強ができないのを主な理由にして、
本当は逃げてるだけだった。



勉強なら、今からだったら死ぬ気で勉強したら、何処かの高校には
受かる確率も上がるかもしれない。


中学の先生だって、どうしても高校に行きたい事を言えば、協力してくれるかもしれない。




…昔から辛い事から逃げてるあたしを見てる里奈はあたしの事はお見通しだった。
虐められてる時は学校をずっと休んで、先輩に呼び出されているときは
勝手に帰って、部活に入りこめない時は部活を辞めて。





「でも、あたしは何を言われたって高校に行く気はない。」





「香織ってよく分かんない。勝手にすれば良いじゃん!」





それから里奈は走って保健室を出て行った。







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