サンプル彼女　（モテ小悪魔の策略？）

京子は合コンに参加していた。

お目当て君はもう居る。斜め向かいの席の荒井という男だ。


いつも通りのストレート風の毛先ワンカール、マスカラとアイシャドウで作った抜け間のある大きな目、

小花のワンピースにぺたんこ靴を合わせて、揺れる小さなピアスを付けた。

いたって普通のありふれた格好。京子はそれで良かった。


京子の隣に居る松坂は目を真っ黒に囲みまつ毛がばさばさで、

てらてらした唇から甘い声を出し、過剰な巻き髪をしてスタイルのいい身体を惜しげなく露出している。


彼女が悪いと京子は思わない。

ただ、もったいないと思う。


あれではチャラいと外見だけで誤解され、ろくな男がよってこない場合が多い。

もちろんノリがいいだとか明るいだとか言った理由でモテるのはモテるが、

京子が追随している“モテる”とは意味が違う。


松坂のような色気を出したアピールは遊びの女にされかねないリスクを伴うのだ。



それに引き換え、京子の格好は松坂とは正反対で保守的な、けれどふんわりとした甘い女の子らしい格好だ。

おしゃれだけれど、気合を入れすぎない。さり気ない可愛さが男ウケに当たると思っている。



ただでさえ派手な松坂は軽いという先入観を持たれがちなのに、彼女は積極的に男に絡む。


―――山葡萄のチューハイを飲みながら、京子は首をかしげた。





< 7 / 69 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop