星より高く飛ぶ竜
怪しげなその男に向かって僕は言った。

「いいですよ。でも、どんな交渉ですか?」

「それがな、この船にはいろんなお宝があってな」

海賊は嬉しそうに言った。さすが海賊。

「そりゃあ、戦艦ですから高価なものはありますとも」

「いいや、人の話は少しは聞けよ?この船には竜の卵があるんだ」

「竜の卵?!」

「おう、そいつを手に入れれば、どこにでも行けるようになる。竜より速く空を飛ぶ生き物はいないしな。その卵は、この戦艦が襲った街から盗み出された代物なんだ。まったくひどいことするぜ」

「じゃあ、その卵を手に入れてどうするんですか?」

「もちろん、元の場所に戻すさ」

「では、空を飛べないんじゃあ」

そういうと、海賊は黙った。

「人を呼びますね」

「待った待った。おめーさんには少しは海賊の苦労がわからないのかね?いいかい。このまま船に乗っていても君のような異国人に命はないぜ」

「なんでですか?」

「この戦艦はいずれ東の王国につくからな。そこで異国人は迫害されているし、領土にいることが見つかったら一生、牢屋に入ることになるぜ」

「え。そうなんだ」

僕は動揺した。確かに、命がないみたいなこと言ってたよな。あの船員さん。

「だから、俺の言うことを信じろ。なーに心配するな。悪いようにはしないぜ」

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