星より高く飛ぶ竜
エビの皮を剥いてから、外に出る。
例の戦艦は、沖合いに出ていた。風は凪いでいた。今日はいい天気になりそうだ。日向亭から少し歩いて、大通りを過ぎ、臨海公園にやってきた。公園はよく手入れされていて、あちらこちらに小さな花が咲いていた。公園のベンチに腰掛ける。僕は肩にかけたバックから、サンドイッチを取り出す。マキが作ってくれた朝食だ。卵と鶏肉が挟まっていて、とても美味しい。
「アレク」
後ろのほうで、誰かが僕のことを呼んだ。
「なんだ、マキじゃん」
「これ、忘れ物。しっかりしてよね」
手渡されたのは、銀色の鍵だった。僕の家の鍵。うっかりしていた。
「ありがとう」
そのとき、だった。臨海公園のすぐの海の波が、唐突に公園の敷地内に乗り上げてきた。あっという間だった。水の速さは凄まじく、すぐに僕のくるぶしまで水に浸かった。木々は、揺れて、地上のあらゆるものが、流れた。濁流は、このまま永遠に続いていくのじゃないかと錯覚した。
「逃げろ、マキ!」
そのとき、僕は何も考えることができなかった。とにかく、その場を離れることに必死だった。でも、努力もむなしく、僕とマキは海に飲み込まれた。
例の戦艦は、沖合いに出ていた。風は凪いでいた。今日はいい天気になりそうだ。日向亭から少し歩いて、大通りを過ぎ、臨海公園にやってきた。公園はよく手入れされていて、あちらこちらに小さな花が咲いていた。公園のベンチに腰掛ける。僕は肩にかけたバックから、サンドイッチを取り出す。マキが作ってくれた朝食だ。卵と鶏肉が挟まっていて、とても美味しい。
「アレク」
後ろのほうで、誰かが僕のことを呼んだ。
「なんだ、マキじゃん」
「これ、忘れ物。しっかりしてよね」
手渡されたのは、銀色の鍵だった。僕の家の鍵。うっかりしていた。
「ありがとう」
そのとき、だった。臨海公園のすぐの海の波が、唐突に公園の敷地内に乗り上げてきた。あっという間だった。水の速さは凄まじく、すぐに僕のくるぶしまで水に浸かった。木々は、揺れて、地上のあらゆるものが、流れた。濁流は、このまま永遠に続いていくのじゃないかと錯覚した。
「逃げろ、マキ!」
そのとき、僕は何も考えることができなかった。とにかく、その場を離れることに必死だった。でも、努力もむなしく、僕とマキは海に飲み込まれた。