星より高く飛ぶ竜
気がつくと、空が見えた。

そうか、ここが天国か。意識がぼんやりとして、なんだか幸せな気分だった。まるで夢見心地というか。

「おら、起きろ」

いきなり後頭部を叩かれた。意識が戻る。状況が一瞬にして飲み込めた。どうやら船の甲板にいるらしい。それで後頭部を叩いたのは、この目の前にいる大男。手に掃除用のモップを持っている。船員らしく、屈強な体つきに、日焼けした浅黒い肌をしている。

「ぼっちゃん、ようやくお目覚めかい」

「いってて、なにしるんですか!」

「それを言うなら、なにするんですかだろ。もうお嬢ちゃんは起きてるぜ」

モップで体をつつくのはやめてください。

「お嬢ちゃん?」

「マキって女の子だ」

「マキがいるんですか?どこですか?」

「まあまあ、会わせてやるから、その前に仕事をしろ。せっかく助けてやったんだしな」

確かに、この人の言う通りかもしれない。

「じゃあ、このモップで第二甲板の掃除をしろよ」

「どこですか?」
「そのはしごを降りてみろ」

男が指差した先には、太い木の梯子があった。
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