星より高く飛ぶ竜
梯子の側に行くと、船全体の容貌が明らかになった。巨大な甲板に、最新式の大砲がいくつも並べてある。あの、港町から見えた、戦艦だった。僕は青くなって、大男を見た。

「なーに?その高さが怖いのか?でも自分で降りろよ」

「そういうことじゃなくて、ここはなんなんですか」

「年上に向かってその口の利き方はなんだ。まあいい、教えてやる。この戦艦は黒竜討伐のために編成された第12艦隊の母艦、ルーゲンブルクだ」

「黒竜?」

「ああ、伝説の竜のひとつだな。今、俺たちはそれを追っかけてる最中ってところだ」

といって、大男は笑った。

「まあ、それは建前で、ほとんど海賊討伐のみみっちい仕事さ」

「へぇー。なるほど。じゃあ黒竜なんていないんですね」

「そんなところだ。でも坊や、この話を聞いたからには、すぐこの船を降りれると思うなよ」

そういって、大男は、僕の肩を叩いた。

「とりあえず、掃除をしろ。当面の飯代くらい働けよ」


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