星より高く飛ぶ竜
大男に連れてこられてのは、船内の食堂だった。小奇麗な食堂には、カレーライスの匂いがした。そこに、見慣れた一人の女の子がいた。

「マキ!無事だったんだ」

「無事だったよ。私はすぐに、この人たちに助けられたから大丈夫だったの」

「そうか。よかったね。ほんとに」

「誰かさんは3日も経っても起きなかったけどね」

「え?僕のこと?」

「他に誰がいるのよ」

マキによると、僕は3日間くらい起きずにいたらしい。そこで船内の医者に診せたところ、ただ寝ているだけとの診断が下ったらしい。

ただ寝ているだけって。どうやら、海に沈んだときに、眠りの魔法でもかけられたのじゃないかという話だ。

それで、マキは甲板掃除を3日もやって、その間、僕はずっとその隣で寝ていたらしい。我ながら不甲斐ない。
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