夜が明ける前に


**



「おはよー兄ちゃん。」



「おー。」




陽が顔を出したのを見てからリビングに入ると、いつものように兄の祥一郎が朝御飯を用意している最中だった。



「卵焼き、今日は甘いのがいいな。」


背後から作業を覗き込みながら言うと、わかったからどけ、と邪魔者扱いされた。


むっとしたものの、要求は飲んでくれたのでまあいいとしよう。



卵焼きまだかなー、なんて考えながら、冷蔵庫から牛乳パックを取り出してそのまま飲んでいると、ぺしん、と軽い衝撃が頭を走った。



「ラッパ飲みは止めろって言っただろうが。」


「…おはよー父さん。」



呆れ顔でこちらを見る父にへらりと笑って挨拶すると、盛大に溜息をつかれた。


「朝から溜息って景気悪いよ?」


ははん、と馬鹿にしたように笑うと、父は呆れ顔のままリビングを出ていった。


そんなことは気にせずにテレビをつけると天気予報をしていた。




今日は晴れ、時々曇りらしい。



お天気お姉さんが言っているんだからそうなんだろう。

朝焼けが綺麗だったから、てっきり晴れかと思っていた。

曇るのは寂しいなぁなんて思いながらテレビを眺めていると、兄から声が掛かった。




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