夜が明ける前に
しかし真実を受け入れてもらえると思うほど、私はおめでたいヤツではない。
「…なぁにムキになってんのさ。昨日そういう題材の映画見てさ。藤元ならどうすんだろって思っただけ。」
へらりと笑うと、藤元は訝しげな顔をしたものの、ふうん、と言ってまた元の位置に寝転がっていった。
やれやれと苦笑していると横から憮然とした声がした。
「…桜木ならどうすんの?」
「…ふふっ。教えてやんない。」
「ケチだねー」
くくっと笑う藤元の声を聞きながら目を閉じた。
教えてやんない。
まだ、答えが出ていないんだから。
答えが出たら、教えてやってもいいよ?
心の中でそう呟いて、浅い眠りに堕ちていった。