夜が明ける前に



「窓、閉めなきゃ…」



「もう閉めた。」


「………は?」


首だけ動かして背後を見ると、彼の言葉通りきちんと閉められていて鍵まで掛かっていた。


「…なんで?私の前にいたのに」



目を丸くして前方を見上げると、かくっと首を傾げるギンジ。


…いやいや。首を傾げたいのはこっちだよ。




「…死神パワー恐るべし……。」



半ば呆けた顔でぽそりと呟くと


「……お前はいつも訳の解らないことを言うな。」


と顔をしかめられた。



…失礼な。

私にとっては彼の方が訳の解らないことを言っているのだが、やはり人と死神はいろいろ違うのだろうと思い、言い返すのを諦めた。


とりあえず、すとん、とベッドに座ると、ギンジも隣に腰を下ろした。


…今日はいつまでいてくれるのだろうか。


明日も、来てくれるだろうか。




そんなことを思う私は、やっぱりかなり重症だ。




「…なんで来てくれなかったの?」


どうしても避難めいた口調になってしまう。

寂しかった

会いたかった

会えて嬉しい。



言いたいことはいっぱいあるのに、やっぱり『ナンデ?』の方が強かった。






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