夜が明ける前に
ヨルガアケルマエニ
***
「うっはー!いい天気だーっ!!」
青い空に白い雲。
視界に拡がるは、一面の緑。
…なんかの童謡みたいだな。
くすりと笑って、大きく息を吸う。
肺一杯に満たされたそれは、いつもと違うものなのは一目瞭然だ。
ぷはあー、と息を吐くのと同時に顔に何かが当たる。
「よそ見すんなよなー!これはガチバトルだぜ?!」
「……こんの、ガキがぁっ!!」
「ばはっ!!」
「「「おおー、やるねぇー」」」
パコーンという軽快な音と共に後ろへ倒れた藤元を見て、拍手する父と兄と京香さん。
「くっそー…俺のミラクルショットを受けてみろっ!」
「っしゃあ!いつでもこーい!」
「おーいいぞ藤元ー!ネーミングセンスねーぞー!」
「やってやれーキザ元ー!」
「加代ー!そんな能無し潰しちゃえー!」
三人の声援を受けて思いっきり項垂れる藤元。
ふふふ…目が死んでますよー、藤元さん。
「うう、敵ばっかか!しゃあねえ……見よ、このスマッシュをー!」
「あっまーい!」
「ってえ!!」
バドミントンで私に勝とうなんざ10年早いわ。
ふふん、と馬鹿にしたように笑うと藤元は更に闘志を燃やしたらしく、何度も挑戦してきた。
やっべ、楽しい!