夜が明ける前に
快晴の土曜日。
学校が休みで、家族が皆家にいる。
さらに兄の恋人と私の友人が一日フリーだと知れば、することは一つ。
ピクニックでしょう、やっぱり。
兄にドデカイお弁当を作ってもらい、京香さんと藤元を電話で召集して向かった先は近所にある総合運動公園。
子供用のアスレチックの遊具や、スポーツの練習用のグラウンド。
はたまたピクニック用の芝生や屋内体育館などもあるかなり大きな場所だ。
休日なので家族連れが多いが、そんな光景も微笑ましく感じる。
「疲れたー……」
「俺は身体中が痛い。」
どさっと芝生の上に倒れ込むと、藤元もよろよろとこちらへ来て隣に倒れ込んだ。
「弱いよ、キミー。」
「いやいや、桜木サンが強すぎんですよ。」
びしっ、と指差すと苦笑気味にこちらを向く藤元。
お互い目を会わせて笑っていると、頭上に陰が射す。
真上を見ると、兄が腰を折って私達二人を見下ろしていた。
「飯食うか?」
「「食いますっ!」」
「んじゃ砂はらってこっちこい。」
それだけ言うと、父と京香さんの座っている所へ戻っていった。
「兄ちゃんの弁当は美味いよー」
「マジ?楽しみー♪」
ぱんぱん、と砂を払いながら笑い合って兄達の元へ向かう。
すでにお弁当が広げられていて、それを見ただけでお腹を鳴らす私と藤元。