*桜恋*
―――え?


背後から声がした。


男の子の声。


「学校に来たくないの?」


振り向くと、そこには背が高く、整った顔立ちの男の子が立っていた。


ななせはドキマギして、男の子から目を逸らした。


「あ、私っ喧嘩しちゃって…」


「だれと?」


「・・幼馴染とです」


男の子はふぅんと笑うと、ななせの頭に手を置いた。


「仲直りしに行こうよ♪」


「え?」


予想外の言葉に、ななせはキョトンとする。


男の子は学校の門をひょいっと跳び越えた。


え、すご、い…


「あ、キミも速くきなよ」


「え、私のぼれな・・」


男の子はニコッと笑うと、門の上に立った。


そして、ななせに手を差し伸べた。


「おいで」
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