*桜恋*
昂汰は舌打ちして、携帯を制服のポケットから取り出す。


「・・・」


ななせは今のうちに昂汰から離れた。


いくら幼馴染だといっても、


昂汰は年が上がるごとに

男の子らしくなっている。


吉良ほどではないが、そこそこ女子に人気がある。


身長も170そこそこで、スタイルもいい。


ななせはそんな昂汰に見つめられ、


胸の奥があつくなっていくのを感じた。


き、きっといきなりだったから吃驚したんだよ…


「っきゃ!?」


ななせは動揺して、足元が絡まり、その場に転んだ。


「痛たた…」


「大丈夫か」


目の前に昂汰の顔がある。


―――ま、また近いよッ


ななせは大丈夫だから、と昂汰の肩を突き飛ばした。
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