光のカケラ
「…久しぶりだ、ね」
あたしは溢れそうになる涙を必死で抑えた。
家族が大好きだったあたしにはたえられなかった。
「…こうしてみると、あたしのものって少ないわね」
タバコの煙が膨らむ。
「…あたし帰ってこないから」
…え?
空耳がよかった。
でも現実は甘くなかった。
「…金ならいくらでもあるから。
さっ、もう行くわね。」
カバンを持って、
あたしの横をタバコの匂いが過ぎて行く。
「…待って!!」
涙で視界が眩む。