【短】僕は妹に愛を誓う
『おい、いい加減にしろよ。
凜、帰るぞ』
彼女を一瞬睨むと、今にも泣き出しそうな凛の腕を引っ張り歩き始めた。
「えっ!ちょっと、直人買い物は!?」
…行くわけないだろ。
彼女を無視して僕は怒りに任せて歩き続けた。
「なお…直くん!」
必死に呼ぶ凛の声にはっとする。
『ごめん、痛かった!?』
そう言って慌てて凛の腕を離した。
「大丈夫…。だけど彼女良かったの?」
『あぁ…良いの。凜の方が大事だし』
「え…?」
自然と出た言葉に凛が不思議そうな顔をしてる。
『…だって俺の妹だろ?だからあいつの言った事なんて気にすんな!』
言いながらまたあの胸の痛みが襲う。
だけどそれを見せないように、笑顔で凛はの頭を撫でた。
そしたら凛は凄い良い笑顔で笑ってくれて、それが可愛くて…ずっとこの笑顔を守りたいって思った。
――本当は何処かでこの痛みの理由は分かってた。
でも、認めてしまったら、凛を泣かせてしまうかもしれない…。
凛は小学生で…妹で…だからこんな想いを持つわけない…。
そう言い聞かせ、この胸の痛みには気付かないふりをした。
だって僕は…“お兄ちゃん”なのだから……。