りんごを剥く手


食べると頷く私に
あなたは手際よく
りんごをむいてくれた。
しゅるしゅると
流れるような音がする。


絵になる。
ひとかけら剥ける度に
私に差し出す。

私は最初は
ありがとうとか
ごめんとかいいながら
受け取っていたけど、
そのうち食べることに
集中しだした。


甘酸っぱい。
レモンより恋の味に
近い気がした。
少なくとも私にとっては
りんごといえば
あなた。
紛れもなく恋の味。


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