りんごを剥く手


私はあなたが
りんごを私に
剥いてくれる時間が
一番好きだった。

綺麗だけど節だった
あなたの手が
紅かったりんごを白に
してゆく様は
ごく自然で、
魔法にみえた。
りんごを剥くことは
だれにでも
できるはずなのに、
不思議だよね。
あなたが剥くと
誰も出来ないことを
しているようにさえ
感じたの。


本当に不思議だった。
その姿を見るだけで
満たされた。


大事に大事に
扱うから、
私がそうされてる訳では
ないのに、
何だかすごく
くすぐったかった。


< 20 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop