りんごを剥く手

私はいつも
辛かった。
お母さんが来て
「きっとすぐ治るから。」
って涙を堪えながら
私に言ってくれるのが。

だって知ってるの。
私もう永くない。


少し遠くの
灯りが漏れてる場所から
聞こえてきた
すすり泣く声。
気になって近くに寄ったら
よく知ってる声が
聞こえた。


あと五年が
良いところです。


あぁ、ごめんなさい。
せめて音を立てないように
戻ったの。
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